げじげじ日記

私の世界

こころ

日常のいろいろな場面で
私には語ることばが無い、ということが
よくある

ことばを語っても
ただ悲しみが増すだけ
という気がして
開いた本を閉じるように
こころの中の
何かが閉じられた

閉じられたものは半透明なゼラチンの塊となって
ぎゅっと圧縮して何かを読み取ろうとしても
こころに壁も底もないので
つるつるとどこまでも滑ってゆく


ことばは無くなり
悲しみが増すこともなくなった

以前、とても悲しいことがあった
そして、未だにわたしはそれを語ることができない

こころの底が抜けて
こころを支えていたものが
何もかもが流れ出てしまった

想い出は意味を失いただの事実の記憶になった

わたしは成仏できない幽霊のように、この世界から浮いた存在となって、通り過ぎてゆく人々を眺めている

幽霊というのは人間のうちのある状態のことであったのだな、と分かった


わたしは怖れについて語った
次は悲しみについて語らねばならない